
中村屋
三陸の宝と想いを込めて。
鉄とラグビーもいいが、釜石にはもっといいモノがたくさんある。そうお話をしてくださったのは東日本のお土産グランプリをとり、東北のお土産の代名詞でもある「三陸海宝漬」をつくらている有限会社中村屋の社長、島村隆さん。本記事ではふるさと納税返礼品でもある「三陸海宝漬」の魅力はもちろん、創られるまでのストーリーや釜石の魅力についてもお届けします。

もともとは祖父母が海鮮料理屋を営み、戦後に雑炊屋を始めるなどのお食事処一家でした。 祖父母が亡くなった後も、親が居酒屋を開くなどし、当時10万人ほどいた釜石市で市と一緒に栄えてました。遊ぶところがないから小さい頃は山や海で遊び、もともと植木屋になりたかった兄が料理の道に入ったことが、大きな影響となり、東京都港区にある名店で修行をすることになりました。修行を6年ほど行い、釜石市に戻った時には兄がお店を継いで1年目くらい。もともとフレンチ料理出身の兄が出す料理は物珍しがってか、最初は多くの客が来ていたが、戻った時には相当苦戦していました。兄はその後、1年間の修業に出て、戻ったタイミングで釜石市にしかない“本当の"中村屋をつくり始めたのはそのタイミング。当時の釜石は三陸でも松茸などの山菜から天然アワビや魚といった食料の宝庫で、フレンチ料理から日本料理、お客様が食べたいものは何でも出していましたよ。

三陸のリアス式海岸で採れる栄養分の高いメカブと、それら海藻を栄養素として育ったエゾアワビ。特に、このエゾアワビは小ぶりだが肉厚で、旨味が凝縮されているので有名です。それに、産卵前の銀毛サケから取り出した鼈甲色の真珠のようなイクラ。この三陸の海だからこそ生まれたのが、「三陸海宝漬」です。この三陸海宝漬のアワビは「だまし煮」という調理法を使っています。これは幼少期に遊んでいた時に、太陽が潮だまりの海水を温め、水温があがることでアワビがゆらゆらと身体を伸ばすように動いて岩から剥がれ落ちるのを見ていて、閃いたんです。同じような環境を作れば、アワビはもっと美味しくなるんじゃないかと。それが、アワビのだまし煮の発想の原点です。

「三陸海宝漬」は、もともとはお店で出していたが、自宅でも食べたいという声が多くなってきたので、産地直送という形式で一夜にして着くように配達もはじめました。想像以上の反響で東京からも出店の要請があったが、当時は新鮮で美味しいものを届けたいという想い、釜石に食材があるからこそできるという気持ちが強くすべてお断りしていました。現在では技術の発展のおかげもあり、瞬間冷凍で全国に配送ができるようになりましたが、やはり「三陸海宝漬」のふるさとは釜石市であり、釜石市だからこそできる商品ということをふるさと納税を通しても発信できればと思います。

この三陸海宝漬は、ご飯と食べるのはもちろん、他にも美味しい食べ方があります。季節によって海宝漬は役割を変えますが、例えば12月や1月などでは、お餅と一緒に食べたりするとお餅の甘さと絡み合い、磯の香りをより引き出してくれます。夏だったら冷静パスタに合わせても美味しく頂けます。オクラやなめこ、長芋の千切りなど粘性の野菜とも相性がよく、体調が悪い時などにもお召し上がれます。とは言ってもやはり、ご飯と一緒に食べて頂くのが王道で美味しいと思います。ご飯とご一緒に食べられる時は、好みにもよりますが、ご飯:三陸海宝漬の割合を7:3ほどの比率で食べて頂くのがオススメです。

この三陸海宝漬のモデルは、三陸の海を表現している「メカブ」と船を連想させる「アワビ」、そして三陸の朝にも見えるキラキラとした海を思い浮かべる「イクラ」を最後にまぶすことによってできており、機械ではできない職人達だからこそ、釜石市だからこその想いが詰まっております。味はもちろん、多様な食べ方を試したりして頂き、東北を代表する釜石市の返礼品「三陸海宝漬」を是非、ご賞味ください。